棚を組み立てようとしたとき、壁にフックを取り付けようとしたとき。電動ドライバーという道具は、ふだん見えない場所から唐突に生活の中に現れる。
その一台が空間のノイズになるか、それとも調和を保つ存在になるか。その差は小さいようでいて、暮らしの統一感に確かな違いをもたらす。
Xiaomiのミニマルな電動ドライバーは、そんな生活の視点でこそ選ばれるべき道具である。
無駄を削ぎ落とした、ミニマルな形と構造
このドライバーを見たとき、まず気づくのは「工具らしさ」の少なさだ。
いわゆる工具に付きものの凹凸、色分け、視覚的な“注意喚起”は一切なく、均整のとれたL字型のボディに、細部の目立たないパーツが滑らかにつながっている。
ビスの頭が外から見えない構造、親指で回すリング状のスイッチ、円周に沿って光るLEDライト。それらはすべて、形としての必然性があるだけでなく、全体に静かな一体感を与えている。
どこか家電にも似た佇まいだが、それでいて機能は端的。装飾性ではなく、設計の整理整頓によって生まれたミニマルさがある。
手にしたときに伝わる質感と仕上げの精度
この道具の質感を伝えるには、手に持つしかない。
外装には高耐久のエンジニアリングプラスチックが用いられ、表面にはUV硬化塗装が施されている。
ツヤがなく指紋が残らないマットな質感で手のひらにすっと収まる。
直感的に使えて、疲れにくい操作性と実用性
電動工具にありがちな複雑さは、この一台にはない。
親指でひねるだけで回転方向を変えられるダイヤル。引けば回るシンプルなトリガー。作業中に照らすLEDライトは、トリガーと連動しているため余計な操作もいらない。
重量は約350gと軽量。延長バー付きで奥まったネジにも届き、マグネット式のビット着脱は快適で、作業中にビットが外れることもほぼない。
IKEAの組み立て家具や小型家電のメンテナンスなど、家庭内の作業ではとくに威力を発揮する。回転数は200rpmと控えめだが、力任せではない、丁寧な作業を好む人にはむしろ好ましいスペックだ。
必要十分のスペックと、ライトDIYに最適な機能
3.6Vのリチウムイオンバッテリーは、2000mAhの容量で約180本のネジ締めに対応する。USB-Cでの充電に対応しており、スマートフォンの充電器がそのまま使えるという気軽さもある。
充電時間は2〜3時間。急速充電には非対応だが、計画的に作業する分には十分な設計だ。
最大トルクは5N·m。これは本格的な木工や建築用途には力不足だが、一般家庭での家具や設備の設置には必要十分。
12種のS2合金鋼ビットが付属し、延長バーと専用ケースもコンパクトにまとめられている。取り回しも収納もストレスがない。
道具に美意識を求める人へ。これは、使っても置いても満足できる一台
必要な機能をきちんと備えながら、生活に置いて違和感のない形をしている。見えるところに出しっぱなしにしてもいいし、ケースにしまえばすっと収まる。
道具選びの基準が「使えるか」だけではなく、「どう在るか」へと移っている今。こうしたプロダクトこそが、“質にこだわる大人”にとって、信頼に値する選択肢となる。